忍者ブログ

馬と狸と猿と駄の話

将軍06.だれも起きてはならぬ。

「まあいちおう、相談があるんですけど」

「どうした?」

「わたしの学校に、蟹久さんて人がいるんですよ」

「はあ」

「で、蟹久さんと気まずくなったんですよ」

「ほう」

「で、この前、眠くてたまらない日があったんですよ。で、昼休みに教室の自分の席で寝てたんですよ。で、そうしたら、蟹久さんが背中にのしかかってきて、『なに寝てるんだよ』とか言うんですよ。まあなんつったらいいんでしょ、わたしって、寝るのを邪魔されるのが一番嫌いじゃないですか」

「はあ」

「で、むかついてむかついて殺しやりたくなったんですよ。で、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ねえええええって、おもいきり怒鳴りつけてやったんですよ」

「はあ……」

「そうしたら、蟹久さんは黙って教室から出て行ったんですよ。で、安心して、また眠れたんですよ」

「はあ……」

「それから一週間以上たつんですけど、蟹久さんが口きいてくれないんですよ。無視されてるんですよ。どうしたらいいと思いますか?」

「どうしたらって……。謝るしかないじゃない」

「いえ、ちがいます。まあいちおう、おかしいのは蟹久さんだと思うんですよ。文句があるんなら面とむかって言うべきじゃないですか。わたしにはちゃんとした理由があるんですよ。わたしは、眠りを邪魔されるのが嫌いなんですよ。異様に。邪魔されて我慢できなかったんですよ。話をしてくれれば、ちゃんと説明できるじゃないですか。無視するなんて、おかしいじゃないですか。まあなんつったらいいんでしょ、蟹久さんは幼稚だと思うんですよ」

「はあ……」

「ほんとうに困ってるんですよ」

「自分の行動で相手を怒らせたんだから、謝るところから始まるんじゃないの?」

「ちゃんと理由はあるんだから、わたしは悪くないと思うんですよ」

「理由はどうあれ、謝らないと話が進まないじゃない」

「いえ、わたしは今まで自分から謝ったことってないんですよ」

「へえ、そうなんだ。だったら、もう口きかないままでいいじゃん」

「はあ、そうですか……。まあいちおう、謝ってみます」

PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。